Kameli apartment Exhibition ”長く使い続けていく心地よい道具たち”



2026 4/25sat – 5/3sun  会期中無休
安倍麻樹さん在廊日 4/25

長く使い続けていく心地よい道具たち

そう銘打ってテルセイロでは5度目のご紹介となります。

今回は製品の中でも一年を通してご愛用いただけるリネン素材の製品について、生活に取り入れる際のお手入れなどのレクチャーも含めグッと掘り下げてご提案したいと考えています。

これから先ずっと寄り添いあえる道具と出会う機会となりますように。

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今回、麻樹さんとのやりとりの中で、製品についてや生活の中で思うことをフリースタイルでコラムを届けていただいています。道具というものは常に日常生活に欠かせないもの。麻樹さんの日常から垣間見るKameli製品との暮らしぶりを感じていただけたらと思います。


2026/4/1
昨日のことです。フランスのテキスタイルデザイナーでありアーティストのAudrey Briot さんが黒島のギャラリーを訪れてくださいました。

オドレィさんは石垣島のArtist in Residenceにて、ラジオの電波や電磁波の情報を八重山の海で採取し、その情報を布に落とし込むという作品を制作中なのだそう。レジデンスのオーナー・バレリーさんに、テキスタイルと言えば、と黒島のKameli apartmentを紹介していただきご来島くださったのです。

当店の紹介するラトビアの手織り。上質なバルティックリネンやウールを使った製品をじっくりと興味深そうにご覧になる姿。フレンチリネンに触れることも多いだろう本場の方が、どのような印象を抱かれるのだろう?と私も興味深く話をきかせてもらいました。

「日本で本物のウールやこのような上質なリネンの織物を見ることがあまりないですね。」フランスと日本のハーフであるご主人と何度も通っている日本。

なるほど。過去の私自身もそうでした。もともとリネンの歴史が浅い日本では触れる機会の無かった上質なリネンが、いかに気持ちよく、使いやすく、機能的かということに感動して、この道にどっぷりはまったのですから。

リネンをふんだんに使ったラグは、その場を引き締めるインテリアの効果だけでなく、汚れをさっと吸収し、その後洗濯も楽にできるという機能美も兼ね備え、飾るアートとはまた違った美しさを醸し出します。

真っ白なベッドリネンも、細い糸を贅沢に使用し繊細に織り上げているのにもかかわらずガンガン洗える。生活道具であると同時に、手に取れる歴史遺産でもあると感じています。

本場フランスですらフレンチリネンの製糸の工程はアジアで行っているものも多いそうで、価格とのバランスを保つためにはやはり伝統的な製法から大量生産に合う製法へと移行される現実を、垣間見ることとなりました。

 当店に届けていただくリネンの製品が、このいま、バルト圏内で生産・製糸され、手織りの工房で織られていること。改めて、奇跡のようなこの流れと、皆様にひとつひとつお届けできることに感謝。

オドレィさんの2歳の娘・モエちゃん、そして4歳の我が子。彼女たちが大人になる頃には、世界はどんな風になっているのだろう。近頃は特にそんなことをよく思います。


2026/4/13

手織りのテーブルリネンやベッドリネンの純白の美しさ。Kameli apartment の展示会にお越しのお客様でしたら、一度は目にしていただいたことがあるでしょうか。

日々の暮らしの中で使うものを、敢えて真っ白で制作しているのには、理由があります。

それは、リネンは汚れが落ちやすく、水で洗うほどに糸が強くなり、使うほどに美しくなるという奇跡の繊維だから。

お醤油をこぼしても、赤ワインをこぼしても。

生活の中にある一枚の布が、なんと便利で、なんと気持ちよいことか。そしてなにより暮らしの中にたたずむ手織りの織柄が、美しい!

リネンは、知れば知るほど、使えば使うほどに、驚きの繊維なのです。

汚れても洗える、そして汚れが落ちやすい、そんな特性に魅力を感じてご購入いただくお客様もいらっしゃることでしょう。一度洗ってしまうと割り切れることもあるようですが、どうも、「購入してから2年以上たちますが、未だに洗ったことがありません」と仰る方にも時々お目にかかります。もちろん、カバーやディスプレイの布などのようにほとんど洗う必要がない使い方をされているお客様もいらっしゃると思いますので、無理やりに洗ってくれ!とは言いませんが、この展示会の機会に、どれだけすごいかというのをぜひ知っていただきたいよね!と陽子さんとお話していました。

こちらの布。(←写真を一緒に挙げていただけるとわかりやすいでしょうか)

つい先日ラトビアで織られ、届きたての、純白リネンです。

ディスプレイ用にテーブルに敷いたり、パソコンや何かをちょっと隠すカバーとしても目にするたびに嬉しくなる美しい織り模様。こちらを敢えてランチョンマットとして、ある日の昼ご飯に使ってみたところ、さっそく夫がこぼしてくれました。トマトサラダをべちょっ!と。笑

夫や子供に対して、怒らなくてよい、というのは日々の精神衛生上、とても大事ですね。

「いいのよ~、どんどんこぼして。」という不敵な笑みを浮かべる私。

こうして恰好の研究対象を得た私ですが、その日の忙しさにかまけてトマト汁がカピカピ乾燥するまで放置し、ようやく夕方、溜めた水に浮かべた後、また忙しくしていました。

夜、お風呂に入る前に見てみると、水にさらしておけばスルスルっと汚れが落ちる、、というイメージでいたものの、トマトの色素がしっかり布から落ちていません。すこし焦って、軽くごしごし(コシコシ、コシコシ、くらい)してみましたが、着色汚れは薄っすらある状態。ですが、その日もあれやこれやに手を取られ、結局一晩水につけたままにしておきました。

あくる日、しっかり絞って庭に干しました。汚れはだいぶ薄くなってはいましたが、まだ、汚れの場所がわかるくらいの印象でした。もう一回くらい洗ったら、見えなくなるかな?というくらい。それでも、注視しないとわからないくらいまでにはとれています。さすがです。

乾ききり、さて、どんなかな!?と見てみると、

ん??んんん??

もう、どこが汚れかわからないくらいに!

ちなみに、後でAIによるトマトの色素による汚れの落とし方についてはこんな風にかいてありました。

布類に付着したトマトのシミの落とし方

1.     食器用洗剤で揉み洗い: シミに直接洗剤をつけ、ぬるま湯で揉み洗う。

2.     酸素系漂白剤でつけ置き: 落ちない場合は、酸素系漂白剤を溶かしたぬるま湯(40〜50℃)に30分〜1時間浸す。

3.     天日干し: 洗濯後、日光(紫外線)に当てて乾燥させる(リコピンは紫外線で分解される)。

紫外線にあてることで色素が分解される!という相乗効果もあったかもしれません。

しかし、紫外線に思い切り当てることができる、というのも、自然素材だからできることですね。

せっかく上質なリネンを使っていても、上記のように、洗剤を直接生地につけてしまったり、漂白剤を使ってしまうのはもったいないし、手間もかかります。(生地をかえって傷めてしまうことになるので、なるべく使われないようにご案内しています。)
現代のわたしたちは、落ちない汚れをすぐに漂白剤に頼ってしまいがちですが、良質なリネンを使ってみると、生地の力に頼ることができる、そんな新たな意識を植え付けられることでしょう。

リネンの汚れ落ちの実証研究において、これまでで一番衝撃的だったのは、(まだ若かりし頃のお話です。)純白のリネンウールのショールを巻いての外食。すっかり上機嫌で帰宅すると、純白ショールに、潜血か!?というほどの赤ワインの染みがべちょ~~~っと。。。その事実にも、そのまま気づかずに帰宅している自分にも、いまだに信じられない話ですが、そんな時代もありました。笑

まだリネンに出会って間もなきころですので、ぜんぜん、ぜんぜん、割り切れません。

酔いも時計もずいぶん回っていますので、そこからお手入れをする気にもなれず、とりあえず、水を張った洗面器に入れて就寝。すると翌日には、するする~っとすべての汚れがとれていたのでした。

まさにリネンの神様から、「これを後世に語り継ぐのよ」と言われたような体験。笑

お客様にもこれまで何度となくお話させていただいた話です。

そうして、リネンの汚れが落ちる、という経験を少しずつ積んできて今に至りますので、毎回、ドキドキは一応しながらも、イリュージョンのようなリネン体験を楽しんでいる私です。

(今回も、新作の純白プレイスマットを研究材料にしたことを伝えると、陽子さんからは、「勇気ある!」とのお褒めのお言葉を頂戴しました。)

しかしどうやら、リネンという名称ならどれも一緒、というわけではないようです。

リネンの歴史が古くからある地域、ヨーロッパのその土地に根付いた植物の、その繊維の成分に関係しているようです。

私たちがご紹介しているバルティックリネンを扱うラトビアやリトアニアの方々から教えていただくのは、「リネンは洗って使って、10年後が生地として一番美しくなる」ということ。良い素材から作られた製品は何十年と使えると聞かせていただきます。

汚れが落ちやすいからカビや匂いがつきにくく、寿命が長い。また水で洗うことで糸の強度が増し、時が経てばさらにしなやかな肌触りを感じることができます。アンティークショップや海外の蚤の市などで売られている古いリネンをご覧になられたことはあるでしょうか?使い込まれた布の風合いは美しく、古びるどころかむしろ吸水性の高い現役の生活道具として使うことができるのには驚きます。

更には、その心地よさ、使い勝手の良さ。

ベッドリネンなら、冬は温かく夏はさらりと。テーブルリネンなら、汚れたらさっと洗えて清潔、洗濯後の乾きも早く、洗うたびにパリッと気持ち良くお使いいただけます。ベッドやテーブルなどのインテリアの広い面にお使いになると お部屋の印象がグッと変わります。窓辺から差し込む日差しに立体的に浮き上がる繊細な織地には、日常生活の一瞬にも、きっと目を奪われることでしょう。手織りのリネン製品は、まさに 用の美 という言葉を実感させられる生活道具だと思うのです。

リネンは人間史上、最古の布ともいわれています。

歴史のあるこの素材を使い続けることが、私たちが今 唯一できる、後世への保存方法なのかもしれません。


2026/4/15

島暮らしの中で思う 

この一週間、島に撮影隊が入り、島の暮らしに関する番組の取材を受けていました。

牛飼いの生活を密着するなかで、イメージの中での島ぐらしとはちょっと違う、という理由から、黒島のKameli apartmentのギャラリーと私の仕事も一部取材していただきました。

テレビカメラを向けられると、なんと緊張することでしょう。

もともと写真ですら苦手意識があるのに、しゃべるなんて!

と、はじめは意味を見出せないままの取材でしたが、引き受けたからには、と割り切って!もう、気持ちは、全国にいらっしゃる(?と信じてる)Kameli apartmentファンの皆様に向けて!という心持ちで必死に笑顔で乗り越えたのでした。

自分の事を聞かれると、まったく頭の中が真っ白になってしまいますが、製品の話になると別ですね。「そうなんですよ~!」「いいこと聞いてくださいましたねっ」なんて、どんどんリネンのすばらしさ、そしてこの仕事に携わっていただている全てのみなさまへの感謝が溢れ出てくるのでした。(放映されるかどうかはわかりませんが。)

難しかったのが、「この島でこの仕事をすることのメリットについて」という質問。

離島にいる方の中には離島ならではのお仕事に携わっているかたも多いのですが、私の場合は全くもって関係ない、むしろ、「メリット」という言葉から最も遠いと自分でも常々思っているのでしょうね。

考えても、なかなか出てきません。笑

しかしながら、深く深く、自分の考えを探ってみると、

(メリット、、、メリット、、、メリット、、、。)

この土地で「ごみの行き場についてや、モノの最終的な処分について考える機会が増えたこと」かなと頭をよぎりました。

水は直結で海へ。サンゴのろ過機能がどれくらいのものか、わかっていないままに排出せざるを得ない生活排水。

鉄やアルミがリアルに土に還っていくのを目の当たりにもするし、布も、放置されたまま、土の一部と化していることもよく目にします。

その一方で、感激するほどの朝日の美しさ。夕やけ、夕日の儚さ。

ハッとするほどの青さと、美しいコバルトブルーの珊瑚の海。

日々、地球の美しさを享受しているのにもかかわらず、自分が生きてることで排出するごみ達が、いかに地球にとって大きな負担となっていることか。

自然との暮らしが半端ない現実。

「自然の中の暮らし」と聞くと、無農薬の野菜、ハーブ、コンポストとかやりたい~♪ なんて、私もこの島に来るまでは考えていました。でも実際には、野菜を育てるには土を作るところから始めなければならず片手間では到底できることではないし、ハーブは太陽が強すぎて一年でダメになる。コンポストは、ムカデや蛇、虫たちの住処になり、自宅に併設するには危険。夏は暑すぎて日中出歩けないし(=クーラー下での生活)、何かを保存するためのビニール系の袋はすぐに朽ち、海洋ごみのなかでも一番危険なマイクロプラスチックになりかねない。と、強すぎる自然の力に太刀打ちできないでいることばかりです。

そんな中、土に還る素材である自然素材のリネンやウールは、何年も何年も使えるだけでなく、朽ちていき→雑巾の時代も終わり→ごみになる時を想像しても、どれだけ精神的負担が少ないことでしょうか。日々の生活を振り返ってみると、モノを使うことでの心の負担というのは想像以上に大きい様に感じます。

知ってはいても実際には環境問題と聞いてもピンとこなかった移住前にはなかった感覚です。

運営的にはまだまだ課題や改善点があることは否めませんが、それでも、この自然環境の中で前向きにこの仕事を続けられるのは、素材に支えられているところでもあるのだなと振り返りました。

そして暮らしの道具として選択肢の一つをお客様に提供させてもらえることに、誇りを感じます。

「この仕事に飽きることはありませんか?」

誰とも会話せず、日々黙々とひとりで作業に取り組む私の仕事風景をみたからでしょうか。こんなディレクターさんからの質問には、

「飽きることは全くありません。常に生産者さんや販売店のみなさんと繋がっているし、製品作りのアイディアも沢山ある。自分の力はまだまだだなぁと思いながらも、想像通り製品が出来上がったら嬉しいですし、お客様が選んでくださることでまた作り続けられるというこの環境が幸せです。」

あれだけカメラ苦手~。なんて言っていた自分から、迷わず素直に出てきた言葉には自分でも少し驚きましたが(笑)、

この環境と、いつも大切に思っていただいている皆様、そして生産者の方々への感謝を改めて胸に刻む体験になりました。